【導入事例】AI活用全社No.1評価を獲得!|豊田通商 金属資源部が実践した、世界規模の資源ビジネスを支えるNotion CRM導入


「正直、途方に暮れていました」
豊田通商株式会社 サーキュラーエコノミー本部 金属資源部 部長の青木 努様は、2025年春をそう振り返ります。
組織再編によって、部の人数は一気に倍になりました。ところが同じ時期に、事業を長く支えてきた経験者が海外赴任などで相次いで部を離れることになります。仕事は2倍、経験者は減っていく。残されたのは、資源開発の経験がまだ浅いメンバーたちでした。
電気自動車や半導体などに欠かせないレアメタル(クリティカルミネラル)の確保という、国家レベルの重みを持つミッションを背負いながら、組織としては難しい局面にありました。
そこから1年余りで、金属資源部は豊田通商社内のAI活用でトップランナーと呼ばれる部門に変わります。変えたのはツールだけではなく、情報の持ち方でした。本記事では、部長として組織の変革を率いた青木様と、資源プロジェクトの案件管理を担い本件を現場で推進した榊原様にお話を伺いました。
課題:組織再編による人員倍増と経験者の減少。ノウハウが「一人のスーパーマン」に集中する構造
打ち手:既存業務の部分的なデジタル化ではなく、顧客を主軸のキーに置いたデータ構造での業務再設計
変化:確認の往復が消え、議事録と日報が自動で残る。工数1/3 × できる人3倍という掛け算の生産性設計へ
金属資源部が扱うのは、世界のどこでも採れるわけではない資源です。電池、モーターの磁石、半導体。先端技術に不可欠なレアメタルは供給地が偏在しており、供給網の分断が事業リスクに直結します。豊田通商グループがこの領域に本格的に取り組み始めたのは2009年ごろ。鉱山権益の取得といった資源開発と、顧客とともに物を流通させるトレーディングの両輪で事業を組み立ててきました。
ただし、この領域は歴史が浅いという特殊性があります。
青木様:他社は1960年代から鉄鉱石などの資源開発を手がけてこられました。それに比べて我々が取り扱うレアメタルは、歴史がとても浅く、どう処理するのか、どの鉱山にどれくらい埋蔵されているのかといった知見がまだまだ溜まっていない。価格も、通常なら10年で2倍3倍という世界かもしれませんが、レアメタルは10倍にもなり、10分の1にもなり、とてもボラティリティが大きく、経験者の知識が重要な領域です。
歴史が浅いということは、型が存在しないということです。型がなければ、判断は経験者の頭の中に蓄積されます。交渉の経緯も、案件ごとの勘所も、組織ではなく個人に残る。この構造が、2025年春の組織再編で一気に表面化しました。
人数は倍になり、経験の浅いメンバーが加わる一方で、事業を支えてきた経験者は部を離れていく。青木様が「途方に暮れた」と語ったのは、この状況です。ちょうど同じ時期に、経営からAIとDXの活用を後押しする方針が示されました。
青木様:これに乗らない手はないと考えました。当時のAI活用を振り返ると、今の仕事を、同じやり方のまま少しだけ効率化できないかという程度でしか使えていませんでした。
課題は3つの層に分かれていました。ひとつは人。経験者の減少と、経験の浅いメンバーの流入です。ふたつめは情報。交渉履歴や案件知見が個人に閉じ、組織に残らない状態です。そして仕組み。AI活用が既存業務の部分最適にとどまり、変革になっていませんでした。人だけ、あるいはツールだけを手当てしても解けない構造でした。

株式会社Modelistの話を最初に聞いたとき、青木様の第一印象は決して特別なものではありませんでした。それまでにも、同じような紹介で複数の会社から提案を受けていたからです。
これまで受けてきた提案について、青木様はこう整理します。
青木様:これまでもシステム的な提案は何社からも話を聞いていました。まず現状の業務をヒアリングして、1から10まである業務フローのうち、3のところの業務をこのツールでこのやり方で簡便化しましょうと。それをいくつも集めて、トータルでこうなりますね、という形の提案が多かった印象です。決して間違ってはいません。ただ、それでは今までの仕事の進め方そのものは変わらないのです。Notionについては事前からこれはいいなと思ったんだけど、やっぱり革命的な変化みたいなところは起こせるか起こせないかっていうと、以前のベンダーさんっていうのは、そういう革命的な感じで、ご提案いただくっていうのはあんまりなかったかなと。
ここで重要なのは、既存の業務システムや提案されたシステムそのものに問題があったわけではないという点です。課題はツールの側ではなく、業務フロー全体の理解と提案の進め方にあった。だからこそ、ツールを一つ足す提案では届かなかったのです。
Modelistの提案が違うなと感じたのは、機能ではなく物事の構造を主題に置いた点でした。推進役を担った榊原様は、選定の決め手をこう語ります。
榊原様:これまで受けてきた提案は「この機能をこう実装します」というもので、コンセプトが見えませんでした。Modelistは違って、顧客を主軸とし、そこから情報が派生していくというデータ構造の考え方が骨太でした。榊原様は、この考え方に強く共感したといいます。
もうひとつの決め手は、応答の速さでした。
榊原様:「こういうことはできますか」と聞くと、次の打ち合わせにはもう動くものが出てきます。あのアジャイル性は他にはなく、Notionだからこそできるものだと感じました。しかも作って終わりではなく、実際に動くデモを通じて、導入後の使い方まで具体的に示してくれたのです。
青木様:呉縞さんと初めてお話ししたとき、私が投げかけたことに間髪入れずに返ってきました。「準備していたのですか」「なぜ知っているのですか」と思うほどでした。徹底的に顧客を理解して、時間を無駄にしないという姿勢は、とても印象に残っています。
一方で、発注前には正直な不安もありました。ひとつは、Modelistが小規模な会社であること。大手に支払う金額には、いわば保険料が含まれています。その保険がない状態で任せてよいのか。もうひとつは、提案時は優れていても、実装段階で質が落ちるのではないかという懸念でした。
この不安は、1ヶ月ほどで解消したと榊原様は言います。週を追うごとに、成果物が目に見えて増えていったからです。

最初に着手したのは、資源投資候補の企業を一覧化・比較するロングリストの構築でした。候補企業のPDFやウェブ情報を収集し、資源評価に必要な項目を抽出して一覧で比較できる形に整えることで、情報収集や比較表づくりに時間がかかる課題に向き合いました。資源投資は10年から20年のスパンで、共同事業パートナーとの協業や長期の資産管理が前提になります。その入り口を整える取り組みです。
ただし、榊原様が置いていたゴールは別のところにありました。
榊原様:ロングリスト作成という課題を単体で解決することが目的ではありませんでした。本当の狙いは、メンバーのマインドセットを変えること。そしてアジャイルな働き方を体感してもらうことでした。「決めてから作る」のではなく「作りながら決める」。この進め方を一度経験してもらえれば、他の業務にも自分たちで応用できるようになります。
実際、従来型の開発では、最初の1週間で要件定義書の1ページ目ができるという世界でした。過去に相談した案件では、数ヶ月を費やしても出てきたのはロングリスト単体の机上の仕組みだけで、しかも既存の表計算のプロセスをそのまま画面に移したものでした。
ロングリストでは、指定サイトからPDFやウェブ情報を収集し、資源評価に必要な項目を抽出してデータベースへ整理しました。あわせて、投資候補の一次評価の進め方や技術者の判断基準を言語化し、チームで再利用できる形に整えています。
誰でも扱えるデータベースとして設計すること。これが、AIを乗せるための前提条件でした。

導入後、青木様が最初に挙げた変化は、作業時間の削減ではありませんでした。
青木様:まず、情報発信のタイミングが格段に早くなりました。仕事は下準備が大事だとよく言いますが、その下準備を実行すること自体が簡単かどうかが、実はとても大事なのです。
従来は、会議が終わってから誰かが議事録を書き起こし、上長に見せ、修正し、共有するという往復が必ず発生していました。現在は会議の記録がそのままNotionに残ります。「あれはどうなっていたか」と聞き直す時間そのものが消えました。
DXの効果は、しばしば「作業時間が◯%削減」と語られます。しかし現場でいちばん時間を溶かしているのは、作業そのものではなく確認・共有・催促という往復です。情報が最初から共有された状態であれば、この往復はゼロになります。金属資源部で最初に起きたのは、まさにこの変化でした。
AIの使い勝手についても、明確な違いがあったと言います。
青木様:汎用のAIアシスタントに聞くと、一般論としては正しくても、自分たちの案件の話にはなりません。Notion CRMの場合は、これまでの交渉履歴を踏まえたうえで返ってきます。「このアングルで、この深さで返してほしい」という期待に対して、その通りのものが出てくる。だから思考の訓練になりますし、いい壁打ち相手になります。
情報が全員に見えている状態から会議が始まるため、事前の根回しや「会議のための会議」も不要になりました。その場で決められる。意思決定のスピードが上がった理由は、ここにあります。
現場を担う榊原様は、これを行動の可視化と表現します。
榊原様:すべてのミーティングで議事録をNotionに作るようになりました。これは単なる記録ではなく、誰がどこと何を話しているかが部全体に見えている状態です。情報は、完璧であることよりも、早く見えることのほうが大事なのです。
この考え方は運用ルールにも表れています。面談後は24時間以内にドラフトを共有する。完成度が6割から7割でも、先に出す。後から直せばよい、という前提です。複数企業の横並び比較も、かつては表計算で比較表を作っていたものが、いまはデータベースのビューを切り替えるだけになりました。
青木様が描く生産性の設計は、引き算ではなく掛け算です。
青木様:一人ひとりの工数が1/3になればこなせる仕事の量は3倍になり、ハイパフォーマーと同じレベルの判断ができるメンバーが3倍に増えれば、それだけで組織の生産性は9倍です。そこにスピードの改善が乗れば、生産性10倍も決して夢ではないと考えています。
鍵になるのは、判断そのものをどう組織に移すかです。
青木様:私の頭の中にあるものを、どうやって外に出すか。そういう意味では「青木エージェント」を始め人格エージェントの仕組みはすごく感動しました。AIが自分の日々の発言を記録し、私が判断していることを、AIが一時的にアドバイスや判断できるようになれば、私に聞かなくても進みます。組織全体でNotionやエージェントと人の協業が実現できれば10倍の生産性も実現できるのではないかと思っています。
この発想は、部の目指す姿とも一致しています。
青木様:2009年から始めて、これから20年30年で事業をどう拡大させるかを考えると、一人のスーパーマンのような形ではいけません。経験豊富な人間が得たノウハウをどう共有し、標準化していくか。情報が常に入力される状態をどう作るか。そこが目指すべき方向性です。
部内での広がりも進んでいます。青木様自身が率先してAIを使い、部内では活用事例を持ち寄るAIコンテストも開催しました。話したい内容の骨子から、ボタンひとつでプレゼン用のテキストを生成するデモを部門長自らが発表したことが、「AIは使える」という共通認識を部内に作っています。
導入初期と比べ、AIサマリの作成ペースは約3倍に増えました。AI活用は、一部のメンバーによる試行から、議事録・日報・案件情報を日常的に残し、共有する業務のリズムへと移っています。
青木様と榊原様が見据えているのは、部内から全社への展開です。まずは部内教育によってデジタル活用のばらつきを埋め、底上げを図る。そこから新しい活用事例が生まれるという想定です。その先の全社展開に向けてはセキュリティや関連部門の巻き込みが必要になります。現在はお二人からの紹介で、他部門への広がりも始まっています。
工数を1/3に:情報の入力・共有・確認の自動化(×3)
できる人を3倍に:ノウハウの標準化と共有(×3)
スピードを上げる:即断即決/会議の削減(×α)
効率化を「引き算」ではなく「掛け算」で設計する。この切り替えが、部分最適と変革を分けています。
※本表は目標値であり、実績値ではありません。
最後に、同じような課題を持つ企業へのメッセージを伺いました。青木様が強調したのは、AI活用を単なる省力化で終わらせず、働きやすさと組織の変化につなげる視点です。
青木様:AIやテクノロジーの活用は業務効率化であると同時に、社員の福利厚生であり、幸福度の向上だと考えています。無駄な残業が減り、やりたい仕事に時間を使える。エンゲージメントの文脈でも、AI活用は語られるべきです。
続いて榊原様が挙げたのは、意外にも「失敗できること」でした。
榊原様:まず、既存の業務を壊しません。数年かけて行う規模のシステム案件でもありません。だからこそ、失敗が許される仕組みなのです。気軽に試して、そこから学べる。この身軽さは、変革の入り口としてとても重要だと思います。
榊原様:本質は、ひとつのプラットフォームで社内データを活用することです。AIと人間が一緒に働く時代への、いちばん現実的な入り口がここにあると思っています。

豊田通商株式会社は、金属、資源・環境、化学品・エレクトロニクス、食料・生活産業などの領域で、国内取引、輸出入取引、外国間取引をはじめとする幅広い事業を展開する総合商社です。本記事で紹介したサーキュラーエコノミー本部 金属資源部では、電動化と先端技術に不可欠なレアメタル(クリティカルミネラル)を対象に、資源開発とトレーディングの両面から事業に取り組んでいます。
所在地:名古屋本社(本店) 〒450-8575 愛知県名古屋市中村区名駅四丁目9番8号(センチュリー豊田ビル)/東京本社 〒108-8208 東京都港区港南二丁目3番13号(品川フロントビル)
代表者:取締役社長 今井 斗志光
事業内容:各種物品の国内取引、輸出入取引、外国間取引、建設工事請負、各種保険代理業務 等
URL:https://www.toyota-tsusho.com/
私たちModelistは、企業の成長を支援するために「デジタルバウンダリースパナー」人材の創出をミッションとしています。部門・職種・会社・専門領域といった“境界”をデジタルを介して越え、人と情報をつなぎ、学びと成果を循環させられる人材をデジタルバウンダリースパナーと定義しています。テクノロジー×イネーブルメントによって、人の学びや仕事への好奇心をリデザインし、知の共有を通じて人と組織の壁を超えたつながりを生み出すため、サービスの開発/研修事業を手がけています。
所在地:東京都港区北青山一丁目3番1号 アールキューブ青山3階
代表者:代表取締役 呉縞慶一
事業内容:ウェブサービス開発、ブラウザ拡張機能開発
ModelistのNotion CRMは、Notion上に「顧客・企業」を起点としたCRM(顧客管理)の土台を構築しながら、「案件結果を管理する」のみではなく、意思決定理由や検討経緯を残す“プロセスCRM”です。誰と(人物/企業)、いつ・何を話したか(商談メモ/会議メモ/アクティビティ)、次に何をするか(タスク/次アクション)、なぜその判断に至ったか(比較検討・議論・背景などの検討プロセス)を、Notionのデータベースとページの紐づきで一貫して残せます。これにより、準備→記録→整理→振り返りが同じ導線で回り、ビジネスの再現性を構築可能になります。
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